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2024/04/23 17:56 |
【小部屋の中のマリー】 清算会に行ってきた


日曜日は、『小部屋の中のマリー』の清算会でした。


夜の新宿に集合。
居酒屋で再び、共演者達と酒を飲みながら語ってきました。



以前の日記でも書きましたが、今回の公演、
実質三週間足らずという稽古期間だった訳ですが、
その期間、役者として、そして団体主催として、
考えさせられる場面が多くありました。


【マリー】の出演者の中では、私は二番目に年上でした(実は、
ひとり、私と同い年がいてビックリしたのですが)。
稽古中、やはり年齢やキャリアって、そんなに関係ないんだなあって痛感いたしましたね。
勉強する事いっぱいありましたよ、ホントに。


でも、やはり年下の方からしてみれば、私は『先輩』になるわけで、
やっぱり、その面は気をつけました。

それは、面目を保つという事ではなく、
先に立つ者として、いかに姿勢を示すか、という事です。

客演とはいえ、どうしたって自分の行動は、そのまま全体に影響するわけですから、
主催・谷さんとは別の部分で、自分がやるべき事をきちんとやる必要がありました。

いい背中を見せられたなら、良かったのですが。


自分は、一座では作・演出を行っていますが、本業はやはり役者で、
演出部分で、谷さんから勉強させてもらったことがたくさんあります。
「ああ、こんなアプローチの仕方があるのか」とか、
そういう側面からも、稽古を見ているのは楽しかったです。



DULL-COLORED POPの作品は、過去に2作品観ていたのですが、
「うかつにハッピーでもなく、ただただ悲観的でもない」というのが、私の持った印象で、
そこが好きでした。


マリーは外の世界で、人間の持つさまざまな『色』に触れる事で、
自分自身は濁った色に染まった。
それを幸福と捉えるか、不幸と捉えるかは、観た人によって様々だと思います。

濁った色に染まること、それこそが「人間になる(生きる)」という事かもしれないし、
マリーは果たして不幸になったのか? あの小部屋の中に居た方が幸せだったのか?
それだって、答えの出ない問いかけなのです。


「面白かったか?」という問いかけに対して「うん。」と答えたマリー。

その『実験』は、いくつもの波紋を作り、
周囲の人間達の『色』を変化させた、あるいは、より濃さを増すことになりました。
しかし、マリーにその行動を起こさせ、結果を産み出したのは、他でもない、周囲の人間達です。


最後のシーンで描かれる群像。
白い舞台が様々な色に侵食され、混ざり合った中、人々はそれぞれの生活を続ける。
濁った事に気づかずに、あるいは忘れようとし、あるいは知らずに。


マリーが見た『素晴らしき世界』を、我々はどう生きていくのか。
なにを持って、「素晴らしき」と想うのか。


この「答えの出さなさ」が私は好きです。



谷さんの作品の根底には、この世で起こる事柄に対する、
ぼやきにも似た感情が見え隠れするように思われます。

【マリー】で描かれた「同じことの繰り返し」というコンセプトは、
人間の歴史を見つめる冷淡とも言える眼であり、
皮肉と苦笑いと哀愁と落胆と希望とその他もろもろがごちゃ混ぜになった、
なんとも言えない複雑な『色』を観客に投げかけます。


シンプルな構成の中に織り込まれた、数々の問いかけ。
それこそ、絵画のように、近寄ってじっと見つめてみたら、また違った発見があるかも知れませんね。


いっそ、【マリー】や過去の脚本、ネット上で販売してもいいと思う。
案外、売れるんでないかい?



今回の公演、短い稽古期間ながら、
骨太な、しっかりとした作品世界が構築されていたと思っております。

とはいえ、その中にあって、自分の役の演じ方としては、
もっと綿密に掘り下げていく事ができたのではないかという部分もあります。
もっと、もっと、役者として力をつけたいです。


さて、次は来月公演の河馬壱。
いざ、いざ!!




谷さんへ

一座もダルカラに負けないよう、頑張ります。
また、いいお芝居を創りましょう。

ありがとうございました。





                           小櫃川 桃郎太(おびつがわ ももろうた)
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2008/06/17 02:21 | Comments(0) | TrackBack() | 舞台記録

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