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2024/03/29 09:30 |
各作品の総括






※写真は、『牡丹灯篭~月夜にウサギ~』の歌のシーン。
観客の方が、客席から取った写メを、加工して送ってくださいました。

以下に、各作品の反応と総括を書きます。長いです。



『番頭! 皿屋敷』(再演)

◎出演◎ 
小櫃川桃郎太(小櫃川桃郎太一座)
三沼千晶(劇団河馬壱)
渡瀬雪絵(声のみ)


「いちま~い。にま~い。」という、聞きなれたフレーズを持っているこの作品は、
トップバッターとして、いい役割を果たしてくれました。

『夢芝居』もこの回でしか歌わなかったので、ここで我々が
「こう、行きますよ!」という意思表示をしなければなりませんでした。
三沼さんのパワーと渡瀬さんの不可思議さ、そして、私の何だか分からなさ(笑)が、
観客を煙に巻いたようです。よしよし。

ポカーンとさせるくらいが、後のためにはイイのですよ。


三沼さん演じる女将は、ふてぶてしいながらも、どこかキュート。『プリティウーマン』が、ハマっていました。
話自体は、主役がお爺さんで、実はダークなお話になっていくので、好みは別れたようです。

「お菊の存在とは??」というアンケートが多かった。
あの作品、実は色んな受け取り方ができるのですよね。
渡瀬さんのお菊は、不思議な距離感と世界観を生み出してくれました。

私としては、どこか欠けていながらもずんずん進む、
番頭さんの軽快な足音を響かせられたなら良かったかな、と思っております。




『怪談・まんじゅう怖い』

◎出演◎ 
小櫃川桃郎太(小櫃川桃郎太一座)


独り芝居ではありますが、このお話、半分は精霊馬(ナス)が持っていってますね(笑)。
さすが、高性能☆がんばって作ったかいがありました。

元々、この脚本「大きなナスが舞台に出てきたら面白い。」から始まってまして、
その時点では、他になーんにも決まっていないという、とんでもないお話です。


私は毎回、ストーリーを作るのにキーワードから入ります。
『夏』→『お盆』→『ナス』→『先祖』・・・
で、そこに『まんじゅうこわい』を足すと・・・
という具合に、連想ゲームみたいに話が組みあがっていくのです。

他の稽古で、なかなか時間が取れず、本当にカットしようかとも思っていたのですが
「このお話が一番好き!」という方も、何人かいらっしゃいました。
やってよかった。

そういえば、現代が舞台というのは、いままでの作品には無かったのですよね。
自分で書いておいてなんですが、小夜子には、幸せになってもらいたいです。きっと大丈夫。


冒頭の音楽『ツアラトストラ』は、確実に笑いが取れるネタですなあ。
我ながら、あのシーンは馬鹿馬鹿しくて好きです。




『牡丹灯篭 ~月夜にウサギ~』

◎出演◎
小櫃川桃郎太(小櫃川桃郎太一座)
待村朋子(第弐牡丹)
危村武志(巌鉄)
三沼千晶(劇団河馬壱)
渡瀬雪絵


新作です。
いままでの一座の作品とは雰囲気の違う、静かで、情緒的なお話。

『秋』・『月』というキーワードに、いつかやろうと思っていた『牡丹灯篭』を足して、
このような作品になりました。


当初は、危村さんの演じた月見屋を、私が演じるはずだったのですが、
もろもろの都合により、新三郎を演じる事になりました。
大変でしたが、結果的には良かったと思っております。


◎「秋らしい、切ないお話」
◎「景色が見えるようでした」
◎「悲しくも良いお話ですね」
といった感想をいただきました。とても嬉しいです。

前編を通して流れる虫の声が、この作品の空気を創っていました。
音響・ふな蔵さんの手腕に感謝!


ほとんどが、お露役の待村さんと二人での稽古になったわけですが、
彼女の持つ、母性とも言える懐の深さ、そして優しさが、よく出ていたと思います。

なにしろ、新三郎がああいったキャラですから、
お露は、とても大きな優しさ(慈悲とも言えるかも知れませんね)
を持っていなくてはならないのですが、
あくまで、お露は若い娘なので、弱い部分だっていっぱい持っています。
その辺のさじ加減が、とても難しい。

不幸な生い立ちながらも、決して卑屈にならず、凛として「まっすぐ」に生きている娘。
お露というのは、そういう役です。


稽古中の話し合いで、待村さんが「お露は、本当にいい娘ですね。」と言ってくれて、
私は「観客側にも、そう感じてもらいたいね。」と答えました。

そんなお露が、何の前触れも無く、理不尽に命を奪われる。
「何でだ・・・」という新三郎の問いかけは、そのまま、私の言葉でもあるのだと思います。


そのお露を連れてくる『月見屋』ですが、危村さんの演技によって、本当に面白くなりました。
台本だけ読んだら、あんなに楽しいキャラになりません(笑)。
月見屋さんの演技によって、重くなりがちなこのお話が、ふっと軽くなりました。

危村さんは、しっかりと台本の要所を捉え、その上で遊びを入れてきます。
稽古中も、私の意見を尊重しつつ、意見を出してくれました。
また、その意見が的確なので、いくつか、演出をそのままいただきました。


おまつ・おりく親子を演じた三沼さん・渡瀬さん。
『長屋の元気者』という役割を、しっかりと果たしてくれました。

「家政婦は見た。」は、やはりぴったりでしたね(笑)。
このふたりによって、過去の出来事が語られるので、実は重要な役割なのです。
三沼さんは、『番頭!~』の女将みたいな役も似合うのですが、
ああいった、淡々と静かに語る役をやらせると、とてもハマります。
この組み合わせ、また見てみたいなあ。



このお話、書きながら注意したのは「決して、恋愛の話にはしない」という事でした。

新三郎とお露。このふたりを繋いでいるものは、もっと、複雑で、言いようの無いものだと想って(感じて)いて、どちらかというと“信頼”という言葉が、いちばん近いのかも知れません。

お露が、新三郎の中に月明かりを視た様に、新三郎もまた、お露に、自分には無い“何か”を見出したハズなのです。
それは、やっぱり「恋愛」という言葉ではくくりたくないのですよ、私の場合。


アンケートに「愚かで情けない男だが、最後は約束を果たした」というのがありました。それを読みながら「そうだなあ・・・」なんて思いました。最後に、やっと新三郎は自分で動いたのです。



それにしても、やっぱり私の書くお話の登場人物は、皆、悲しい目に遭うのだなあ。
いや、作者としては幸せになって欲しいと思っているのですよ、本当に。


さて、やっぱり最後は歌った訳ですが(笑)、初の山口百恵、『さよならの向こう側』でフィナーレとなりました。
最後に、待村さんがマイクを置いた時は、会場がわっと盛り上がりました。
さすが、伝説のアイドル・・・。

実は私、このパフォーマンスを知らなかったのですよ。いや、すみません。
皆さんに「その曲使うなら・・・!」とご指摘いただきました。
ぶっちゃけ、カーテンコールは、ふな蔵さん演出です(笑)。


ともかく、『牡丹灯篭~月夜にウサギ~』は、私自身、お気に入りの作品となりました。
観客のみなさんが月を見上げた時、ふと、このお話を思い出していただけたら嬉しい限りです。



ああ、えらく長くなってしまった。キチンと読んでくれた方、どうもありがとうございます。




小櫃川 桃郎太(おびつがわ ももろうた)
 

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2008/10/02 23:29 | Comments(0) | TrackBack() | 舞台記録

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