目が覚めると、沖縄にいた。
理由は分からないが、そこが確実に沖縄だという事は分かる。別に暑くはないのだが、確かに沖縄だ。
外に出ると、木々の間の通り沿いに美しい海が見え、海上には何故か現代様式の軍艦が浮いている。
「・・・何故だ? 何故、自分は沖縄に?」
ふと、自分の手の中に携帯があることに気づき、見てみると着信が3件。
「しまった! 8時から東京で仕事じゃないか。沖縄にいる場合じゃない! 何やってんだよ、始発で出れば間に合ったのに!」
いや、間に合わないだろう・・・
「どうしよう。どうしよう。いったい、自分は何をやっていたんだ? なんで沖縄?」
ふと、見てみると、周囲に人の気配がまったく無い。
木々を揺らす風の音と、波の音のみが響いている。
自分は直感する。
どうやら、今、この世界には自分しか居ないらしいのだ。
直感で解る。
なんてことだ・・・!!
「なにやってんの?」
唐突に小さな女の子に声をかけられる。
ああ、他にも居たのね。
「こっちこっち。」
女の子は、自分を手招きして、小さなトタン屋根の家に案内する。
はっきり言ってボロい。
安っぽい貸し屋である。
入り口も、玄関なしの部屋に直結する引き戸だ。
「ただいまー」
女の子が入っていく。
「ああ、そうか、ストーリー展開上、自分はこの女の子とラブラブになるのだな。ベタだなあ。」
などと勝手に考えながら、家を覗くと、中には弟らしい男の子が3人遊んでいて、奥に父親がひとり。
ボロボロの畳敷きの部屋に座っている父親は、なぜか桑田佳祐であった。
(桑田佳祐が、なぜここに・・・?)
しかも、若干やさぐれている。
ラクダシャツを着て、無精ヒゲといういでたちである。
こちらをジロッと見て、小さく「どうも」とだけ言った。
「娘が世話になったね」
「あ、いえ・・・」
立っているのもなんなので、中に入ろうと片足をかけると、
「別に入らなくてもいいのに」
と桑田佳祐に言われ、仕方なしに立っていた。
「何故、こんな状況に・・・? なんで沖縄・・・? なんで桑田佳祐・・・?」
冬の気配の強まる朝、こんな夢を見た。
夢占いだと、どうなるんだろう?
小櫃川 桃郎太(おびつがわ ももろうた)
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しかも3件も!!