十五夜だってなもんで、ベランダから、お月さまを眺めています


いやあ、やっぱり綺麗だなあ。
横を雲が流れていくのが、また美しい。
さっきまで雲に隠れていたのだけど、見られてよかった。
月明かりって、なんだか優しい感じがします。
去年、一座で公演した『牡丹燈篭~月夜にウサギ~』は十五夜のお話でした。
早くも懐かしいです。
月を題材にしたお話、また書きたいな。
とりあえず、酒をちびちび飲みながら、ちょっとだけ涼みます。

小櫃川 桃郎太(おびつがわ ももろうた)
少し前になるが、
DULL-COLORED POPが、今年の10月公演を境に、無期限の活動休止を宣言した。
この事について、書こうと思う。
―思うのだが、なかなか、何を書けばいいのか、まとまらない。
多分に私的な感情が入ってくるので、公的な場で書こうと思うと、難しいものだ。
自分は、単純にこの劇団の作品が好きだったので、やはりショックである。
役者として、第6回公演『小部屋の中のマリー』に出演できた事も本当に嬉しかったし、
なんやかやで第4回公演『ベツレヘム精神病院』から、ずっと観劇している。
骨太で、挑戦的な作品創り。
毎回「無茶するなあ。(笑)」と思わせる新たな試み。
しっかりした土台がありながらも、
どこか子供みたいにやんちゃな部分もある作風を毎回楽しみにしてきた。
猫道さんのイベントで共演したのが初対面だったのだが、
クラブイベントのゲストで、しかも真ん中の出番なのに、
自分達の芝居用に4畳半の舞台セットを組み立て、
出番が終わったらバラす団体が居るとは、夢にも思わなかった。
「世の中、変人っているもんだなあ。」と、素直に感心したものである。
DULL-COLORED POPのメンバーは、主宰の谷さんと、
先日の一座の公演に参加していただいた堀奈津美さん、そして清水那保さん。
それと、つい最近、制作の方が入ったらしいので4人だが、
それまでの間はずっと、3人でやってきたらしい。
これって、素晴らしい事だと思う。
もちろん、毎回の客演陣やスタッフに支えられて、なのであるが、
でも、あれだけの公演を3人中心でやってきたというのは、やっぱり素晴らしいことだよ。
少なくとも、自分はそう思う。
長いこと尋常でないペースで戦い、駆け抜けて来た彼らが、一旦、その足を休める。
小難しい事は書けない。やっぱり、単純にショックなんだよ。
俺は、あなた達の創り出す作品が好きでしたので。
ひとりの観客として再起を心待ちにし、
ひとりの芝居屋として健闘を称え、
ひとりの友人として、公演が終わったら酒でも飲みましょう、と
ここに記します。
小櫃川 桃郎太(おびつがわ ももろうた)
【キツネの嫁入り 他短編】のゲネプロ(本番同様の通し稽古)の写真ができました!!
撮影は、様々な舞台やイベントの撮影を手がけている名鹿祥史さんです。
ブラヴォー☆☆☆
さあ、PCから、こちらへアクセス!!
【東京人物画】
http://www.geocities.jp/ondaatjebookers/21.4.html
いやあ、どの写真も素晴らしい!!
タカオさんが、やっぱり男前だなあ。
とりあえず、私は髪型をオールバックにしないほうが良さそうですね。
なんか、いやらしい。(笑)
眉毛、無いから、かなあ・・・
ふふっ。
小櫃川 桃郎太(おびつがわ ももろうた)
≪各作品について≫
◎『怪談! まんじゅう怖い』◎
観客の中には、「観るの3回目です。」という方も居ました。おそれいります。
数回観ている方は、どんな感想を持ったでしょうか?
ある意味で一座を象徴する、この作品。
大真面目で、ふざけていて、どこかちょっと切ない。
役者と空気が全てです。
あ、ナスもいるか。(笑)
ローテクの精霊馬がそろそろガタがきているので、
2代目(2台目?)にしないといけないかも知れませんね。
あれ、紙製なので。(笑)
◎『道具屋』◎
とにかく菊池美里さんがすごかった。
与太郎が、あんな風に愛すべきキャラクターになるとは、いやはや、ビックリです。
三沼さん演じる叔母さんとのシーンは、ほのぼのとして可笑しく、中継ぎにピッタリでした。
≪菊池美里VS危村武志≫が上演できたのも、すごい事です。これ、本当に貴重。
こんな面白いやりとり、滅多に観られませんよ。
あのシーンは、毎回、袖で笑い転げていました。
三沼さんは、道具屋の女神で、会場を掌握してしまいましたね。(笑)
三沼さんと『夜明けのスキャット』は、長い間温めて来た組み合わせだったので、実現できて嬉しいです。
♪ル~ル~ルルル~♪
今までと違い、落語の噺をベースとしてかなり残した作品でしたが、
落語好きの方からも好評をいただけたのは嬉しかったです。
「サゲをもうちょっと・・・」という意見もありましたが、中継ぎとしては、あのくらいでよかったかと。
◎『キツネの嫁入り』◎
今までの一座の作品と違い、完全なオリジナル脚本でした
(『まんじゅう怖い』もオリジナルではあるが、メインでは初)。
いやあ、いい話になりました!
出演者・スタッフからアイデアをいっぱいいただきました。ぺこぺこ。
恩師から「山本周五郎の小説を彷彿とさせる」と感想をいただいて、叫びだしたい気持ちです。
ひょー!
今回の公演のポイントだったと思いますが、
出演者のバランスが大変に良かった。
スポーツでもそうですが、チームプレイって、バランスなんですよね。
中心にタカオさん・流騎亜さん・奈津美さんの三人が居て、
外枠に三沼さん・危村さんの年長組。
その間に、私と菊池さんが位置する。
関係性がハッキリとしていて、観る側も解りやすい。
さらに、年齢にバラつきがあると、芝居全体の幅が広がるのです。
そういう意味でも、三沼さんの存在って重要。
危村さんは、本当に芸達者な役者さんで、
その方が、大外に居てくれると、安定感(安心感)が全然違います。
キーパーやスイーパーのような存在ですね。
≪新吉・菊花・お恵≫
メインが3人。
以前にも書きましたが『偶数より、奇数の関係性』
私にとって、これは重要なのです。
そして、今回も俗に言う『恋愛モノ』にしない事を心がけました。
主役は、新吉であり、菊花であり、お恵です。
これが、全員人間だったら、もっとゴチャゴチャしたお話になったかも知れません。
ポイントは、菊花がキツネだというところです。
菊花というキャラクターは、非常に正直で素直で、嘘がない。
人間では無い存在だからこそ、説得力のある言葉というものが、やはりあります。
矛盾しているかもしれませんが、人間の言葉は、人間が言うと嘘臭くなってしまう時があるのです。
だからこそ、わたしの書く脚本は沈黙や間が多いのかも知れませんね。
≪菅野貴夫と新吉≫
タカオさんが演じる新吉は、無骨で不器用で繊細。
大変に真面目。だからこそ、苦しんでいる。
そこに、ドタバタとキツネの一家が入り込んで来て、あれよあれよという間に自分のペースは乱され・・・
可哀想ですが、笑えます☆ それが大事。
この役者さんは、二の線と三の線を自在に行き来できるのが素敵。
それこそ、舞台上で素直なのでしょうね。きっちり受けて、きっちり返す。
最後のジンギスカンダンスは、貴重ですねえ。他じゃ多分観られない。(笑)
≪綾小路☆流騎亜という存在≫
今回、最年少であった、菊花役の流騎亜さん。
他の出演者に比べて舞台経験は少ないのですが、その分、柔軟で、真摯でした。
菊花というキャラクターは、彼女の持つ、一途さから生まれています。
本人は「私、こういうキャラじゃないですよー。」と言っていました。
そう、普通はそう見える。でも違うんだなあ。
≪お恵・堀奈津美≫
「喋らない堀奈津美」。よかったですよね!!
お恵は台詞がほとんど無いのですが、書き進める毎に、どんどん重要なキャラになってきて、
正直「どーすんべ・・・」と思っていたのですが、いらぬ心配でしたね。
結果的に菊花との対比が非常にいいアクセントになっていました。
三人は、稽古中にディスカッションの時間を多く取っていて、
それが各キャラの繋がりを、より強めていったと思います。
新吉=菊花=お恵
は、お互いに誰が欠けてもダメなのです。その関係性を創りたかった。
最後に菊花は去ってしまいましたが、消えてはいないのです。
≪たま・徳兵衛 おはつ・政五郎≫
メイン3人を見守り、時にはいじる、マイペースな大人たち。(笑)
ですが、そこには彼らなりの温かさがあり、それ無くしては、このお話は成立しません。
人情家のおはつにだって、きっといろんな過去があるでしょう。
いつもお茶を飲んでる政五郎さんは、どんな人生を歩んできたでしょうか。
人間を毛嫌いしている徳兵衛とたまが、なぜ新吉には興味を持ったのか。
「そこまで人間に優しくはございません」という徳兵衛の台詞は、とても大事。
だからこそ、新吉は自分で決断しなければならなかった。
あのシーンの台詞は、何度も何度も書き直しました。
人それぞれに事情がある。
ですが、私は全部語るよりは、観る側に委ねたいと思っています。
創り手の意図を、観客はあっという間に飛び越えてしまいますので。
≪3部構成について≫
前回から引き続き、3部構成というカタチをとりましたが、
各演目で、それぞれの能力を生かす事ができたのは、非常に良かったです。
『道具屋』の与太郎が、菊池さんの演じるたまを、より馴染みやすくしていたり、
一座の「観かた」を前半で伝えて、メインの後半に繋げる番組構成は、効果的であったと思います。
ただ、その分、脚本作成や演目の決定などは、本来、企画段階で確定しているべきで、
出演者の持ち味を活かすように脚本を書くなら、長いスパンで稽古を重ねなければならないでしょう。
今後の大きな課題です。
≪『菊花の契り』≫
雨月物語の一遍です。
菊花という名前は、ここから取っています。
私の場合、登場人物の名前が決まると、物語がするすると動き出す事が多いです。
「菊花」って、いい響きだよなあ。
(ちなみに、最後まで名前が決まらなかったのが新吉です)
公演時期が菊の節句だったので、物語にからめるか悩みましたが、どうしても説明的になってしまうので・・・
『菊花の契り』は、命尽きても、幽霊となって約束を果たす義兄弟の物語です。
逆に『キツネの嫁入り』は、約束を果たせなかった(守れなかった)者たちのお話だった訳ですが、
やはり、一座の作品は「欠けている人々」が中心となるようです。
さてさて、毎度ながら、えらく長くなってしまいました。
とにかく、今回の作品はお気に入りになったということです。
皆様、本当にありがとうございました!!
最後まで読んでくださった方、どうもありがとうございます。
小櫃川 桃郎太(おびつがわ ももろうた)
≪全体の総括≫
今回、いい公演がうてた、と素直に思っています。
出演者・スタッフにも恵まれ、今まで培ってきたものとうまく融合ができました。
作品もそうですが、客席を含めて、全体に雰囲気が大変良かったように思います。
今回は、『演劇情報サイトCoRich』に情報を掲載したのですが、
そこからの集客は、予想より多かったです。
一座の事をまったく知らない方々に観劇してもらい、率直な意見を公表していただけたのは、
今後の貴重な試金石になりました。
そして、感想が真っ二つに分かれたのも、面白い結果です。
一座のスタイルは意見が分かれて当然なので、
これはCoRichのレビュアーが、嘘偽り無く、意見を述べてくれたという事で、大変参考になります。
逆に、普段あまり芝居(演劇)を観ない、または初めて観たという方も多く居て、
その方達に「面白かった!」と言ってもらえたのも、ガッツポーズをとるくらい嬉しいです。
わーい☆
CoRichを活用している、(小劇場)演劇好きの方、まったく演劇を知らない方、
世代の違う方、皆がそれぞれに違ったカタチで楽しめる。
それこそ、一座の目指す公演です。
アトリエセンティオという空間は、意外と一座に合っていたと思います。
畳の桟敷が作れたのは嬉しかったですねえ。
電車の音が常に聞こえていたり、2階住人の生活排水音が響いたりと、けっこうヒヤヒヤしていたのですが、
「芝居小屋って感じですね。」という感想をいただきました。
確かに、一座がキレイな劇場で公演って、イメージしづらいかも。(笑)
上演時間を2時間以下に抑えられなかったのは、反省点のひとつ。
今後も、3部構成は考えていますが、そこについては、十分検討しなくてはならないでしょう。
そして、今回も脚本作成の遅さから、各方面に迷惑をかけてしまいました。
ここは、本当に何とかしなくては。
≪スタッフ数、過去最大≫
とにかく、今回はスタッフ陣が大変に頼もしかったです。
小屋入りしてからの、各作品のレベルアップは、目を見張るものがあり、
特に、あの環境であんなに素晴らしい音響・照明をもらえるとは、正直思っていなかったです。
衣装も、無駄のない、それでいてしっかりと華のある美しさ。
イメージを膨らませる、浮世絵風のチラシ。
外部対応を安心して任せられる制作サイド。
障子で一気に世界観を広げた、シンプルで奥深い舞台。
どのポジションも、素晴らしい仕事をしてくれました。
「キツネの話、いいですね。」と言ってくださった、写真撮影の名鹿祥史さん、
嬉しかったです。ご協力いただき、ありがとうございます。
そして何より、この公演の立ち上げから尽力してくださった、企画協力の長谷川ふな蔵さん、
あなた無しでは、この公演は成り立ちませんでした。
改めて御礼申し上げます。
各作品については、次の日記で。
小櫃川 桃郎太(おびつがわ ももろうた)